競売不動産は市場価格より安く手に入る可能性がある一方、通常の不動産売買とは異なる費用項目が発生します。入札時・落札時・落札後(公的/私的/その他)の4段階に分けて、いつ・何に・いくらかかるのかを整理しました。事前に総額を把握し、余裕を持った資金計画を立てましょう。

1. 入札時にかかる費用

費用項目目安
買受申出保証額売却基準価額の20%
振込手数料・郵送代(切手代等)数百〜数千円

入札時に物件代金の全額を支払う必要はありません。売却基準価額の20%にあたる「買受申出保証額」を、入札までに納付します。納付を証明する書類の添付が義務付けられているため、期限管理には注意が必要です。

買受申出保証額 = 売却基準価額 × 20%

公告記載の買受申出保証額を下回る納付は認められませんが、それ以上に納める分には問題ありません。銀行振込の手数料や、郵送で入札する場合の切手代も別途かかります。

※ 入札時に持参・郵送した書類は、不動産執行受付での受理時に中身の不備確認は行われません。記入漏れや添付漏れがあると保証金が無効になる可能性があるため、提出前の最終チェックが重要です。

2. 落札時にかかる費用

入札金額の残額支払い

最高価買受申出人(事実上の落札者)は、裁判所からの通知に従い、期限までに入札金額の残額(=入札金額-買受申出保証額)を、入札時と同様に銀行窓口で国庫金納付書により支払います。

残額支払い = 入札金額 - 買受申出保証額

3. 落札後(公的)にかかる費用

費用項目内容・目安
固定資産課税台帳記載事項証明書取得手数料証明書発行にかかる実費
郵送料(登記嘱託用)約2,300円
登録免許税(所有権移転登記)課税価格 × 0.2%
登録免許税(負担記入抹消登記)不動産の筆数 × 1,000円(上限20,000円)
不動産取得税固定資産税評価額 × 4%

登録免許税

固定資産課税台帳記載事項証明書に基づき、裁判所が計算した登録免許税を納付します。

◇所有権移転登記
課税価格 = 土地の評価額 + 建物の評価額(1,000円未満切り捨て)
 ※評価額が無い・0円の土地(地目が公衆道路等)の場合
  評価額 = 近傍宅地1㎡あたり単価 × 地積 × 30 ÷ 100

登録免許税額 = 課税価格 × 0.2%
◇負担記入抹消登記
登録免許税額 = 不動産の筆数 × 1,000円(20筆超は一律20,000円)
 ※変更登記を要する場合は別途登録免許税がかかることがあります

不動産取得税

所有権移転登記の完了後、数ヶ月してから納税通知書が届き、都道府県税事務所へ納付します。

不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 4%

返還債務(敷金等)

占有者がいる物件で、抵当権に対して賃借権が最先の場合、落札者は貸主の地位を引き継ぎます。この場合、敷金・保証金の返還義務も落札者に承継されるため、賃借人退去時には預り金の返還が必要です。

4. 落札後(私的)にかかる費用

滞納額・遅延損害金

マンション等では管理費・修繕積立金の滞納が残っているケースがあり、破産管財人の弁護士費用や遅延損害金が発生している場合もあります。これらは落札者が立替えて支払う必要がありますが、旧所有者に支払い余力がないことがほとんどのため、実質的に返還されない前提で資金計画を立てることをおすすめします。

占有者退去費用

債務者兼占有者が物件に居住している場合、引渡命令による強制退去ではなく、任意の退去を促すのが一般的です。その際の立ち退き料は義務ではありませんが、円滑な明渡しのために有効です。

目安:賃料3ヶ月分相当 + 引っ越し費用10万円 程度

5. 落札後(その他)にかかる費用

残置物撤去費用

室内に家財道具等の残置物がある場合、撤去は落札者が手配します。ただし、残置物(動産)の所有権はあくまで占有者にあるため、無断処分はトラブルの原因になります。「動産放棄同意書」を占有者から取得しておくことを強く推奨します。

動産撤去費用の目安 = 専有面積(㎡) × 10,000円 × 30%

リフォーム費用

競売不動産は原則として内見ができないため、リフォーム費用を事前に正確に見積もることは困難です。所有権移転後に室内を確認して想定と異なるケースは珍しくありません。自己居住か賃貸運用かによっても必要な工事範囲は大きく変わるため、都度リフォーム会社に確認しましょう。

6. その他・想定外の費用

上記に加えて、以下のような費用が発生する場合があります。

  • 競売サポートを専門業者に依頼する場合の手数料
  • 占有者が退去しない場合の引渡命令・強制執行費用(執行官への支払い)
  • 鍵の解錠専門業者・作業員手配費用
  • 残置物の一時保管倉庫費用
  • 現地調査・交通費等の諸経費

資金計画チェックリスト

  • 買受申出保証額(売却基準価額の20%)を用意できているか
  • 登録免許税・不動産取得税の概算を把握しているか
  • 管理費滞納や占有者の有無を事前調査したか
  • 残置物撤去・リフォーム費用に余裕を持たせているか
  • 想定外費用(諸経費)を総額の一部として見込んでいるか

競売不動産は市場価格より安く取得できる可能性がある一方、通常の売買にはない費用やリスクが伴います。総額を正しく把握したうえで、余裕を持った資金計画のもとで入札を検討しましょう。

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