前回は「特定空家」の定義や指定基準についてお伝えしました。今回は、指定を避けるためのポイントと、実際に指定された後どのような流れで行政対応が進んでいくのかを、「助言→指導→勧告→命令→行政代執行」の5段階に沿って解説します。

1. 空家指定を避けるためには

  1. 管理状況を確認する:特定空家指定を受ける可能性のある物件を購入・賃貸する前に、その物件の管理状況を確認しましょう。所有者が適切に管理しているか、自治体から指定を受けていないかを事前に確認できます。
  2. 地域の情報を調べる:特定空家指定を受けやすい地域を避けることも一つの方法です。自治体のウェブサイトや不動産会社、不動産情報サイト等を活用して、地域の情報を調べることができます。

2. 空家指定後の流れ

特定空家等に指定された後は、以下の5段階で行政対応が進んでいきます。段階が進むほど、所有者への強制力は強くなります。

空家等対策の推進に関する特別措置法

空家等対策の推進に関する特別措置法(指定後の流れ)

STEP 1

適正な管理のための助言

  • 定期的な点検:季節ごとや悪天候時に建物・敷地の状態を確認
  • 草刈りや清掃などの維持管理:怠ると苦情や不法侵入・放火のリスクが高まる
  • 安全対策の確認:防犯カメラ・センサーライト・火災報知器・避難経路の確認等
  • 積極的な活用:賃貸提供やリノベーションによる再利用の提案
STEP 2

適正な管理のための指導

  • 点検・維持管理方法の指導
  • 安全対策(防犯・防災)の指導
  • 積極的な活用方法の指導
  • 特定空家指定に関する説明(指定を受けることで支援が受けられる旨の案内)
STEP 3

適正な管理のための勧告

助言・指導を経ても改善が見込まれない場合、以下のような勧告がなされます。

  • 積極的な管理(点検・維持管理・安全対策の実施)
  • 特定空家指定の受け入れ(自治体の支援を受けられる状態にする)
  • 建築物の更新・リノベーションによる再活用
STEP 4

適正な管理のための命令

指導に従わない場合、自治体は以下のような命令を出すことがあります。命令に従わない場合は罰則の対象となります。

  • 管理命令:点検・維持管理・安全対策の実施命令
  • 改善命令:雨漏りや外壁崩落、敷地内のごみ放置等、具体的な問題への改善命令
  • 特定空家指定命令:指定を受けることで、自治体の支援対象となる
STEP 5(最終段階)

行政代執行

命令にも応じない場合の最終手段です。詳しくは次の章で解説します。

3. 行政代執行とは

行政代執行とは、所有者が適正な管理を行わない場合、自治体が代わりに建物の改修・修繕を行い、その費用を所有者に請求する制度です。空き家が周辺住民に迷惑をかける状態にある場合や、所有者が放置し続けている場合などに、自治体が特定空家指定を行った上で改修・修繕を実施します。

自治体は所有者に対して改修・修繕の期限を設定し、期限内に対応がなければ行政代執行に踏み切ります。この際、自治体が費用を先に立て替えて支払い、その後所有者へ費用を請求します。所有者が支払いを拒否した場合は、法的手続きが取られます。

行政代執行は、空き家の放置により周辺住民に迷惑がかかる場合や、建物倒壊等の危険が迫っている場合など、緊急性の高い状況で実施されるものです。所有者に費用負担を求めることができる、強制力のある制度といえます。

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