競売不動産を購入する際の費用
  1. 入札時(買受申出保証金・切手) 
  2. 落札時(買受申出保証金を差引いた入札額・切手・書類発行手数料)
  3. 落札後 公的(登録免許税・不動産取得税・返還債務)
  4. 落札後 私的(滞納額・遅延損害金・占有者退去費用)
  5. 落札後 その他(残置物撤去費用・リフォーム費用)

1.入札時

入札時に支払う費用として、全額を入札時にはらうことはありません。競売不動産の金額設定には、売却基準価格というものがあり、通常その売却基準価格の20%に該当する金額を買受申出保証額として入札時までに納める必要があります。入札時にその証明書類を添付することが義務付けられているものです。

期間入札の公告に記載のある買受申出補償額を下回ることは勿論認められませんが、それ以上入金する分には問題ありません。                                   ※入札時に持参ないし郵送して提出した書類は、不動産執行受付で受理されても中の不備確認はありませんので注意が必要です

そのほか、銀行から振り込む際の手数料及び郵送で入札する際は切手代金などが掛かります。

2.落札時

入札金額の残額支払い

最高価買受申出人(事実上の落札者)は裁判所の通知に従って期限までに入札金額の残額(買受申出補償額を差引いた額)を入札時と同様に銀行の窓口で国庫金納付書にて支払います。

3.落札後(公的)

固定資産課税台帳記載事項証明書取得手数料

固定資産課税台帳記載事項証明書を取得しますので、その発行手数料が掛かります。

郵送料の事前支払い

裁判所から司法書士へ嘱託にて所有権移転の登記を依頼するのですが、その際の郵送料(切手)が約2,300円くらい掛かります。

登録免許税

固定資産課税台帳記載事項証明書に基づき、登録免許税を納める必要があります。※裁判所が計算してくれます。

◇所有権移転登記

*課税価格=土地の評価額+建物の評価額(1000円未満切り捨て)※未評価または評価額が0円の土地(地目が公衆道路の場合)の評価額→近傍宅地1㎡当たりの単価×地積×30÷100 

*登録免許税額=課税価格×0.02% 

◇負担記入抹消登記

*不動産の筆数×1,000円(20筆を超える場合は20,000円)※変更登記を要する場合は別に登録免許税    がかかる場合がある。

不動産取得税

嘱託による所有権移転が完了し、数ヶ月後に取得した不動産に対する納税通知書が届きますので、県税事務所に納めます。

◇不動産取得税=固定資産税評価額×4%

返還債務

競売不動産に占有者が居る場合などで、担保不動産に付着している抵当権に対して最先である場合には、最高価買受申出人(落札者)が貸主の地位を受け継ぐことになります。その場合に敷金は落札者に引き継がれます。よって、賃借人が退去する場合は敷金や保証金ので預託しているものを返還する義務を負います。

4.落札後(私的)

滞納額・遅延損害金の支払い

競売不動産によっては、マンションなどのように管理費や修繕積立費などを滞納している場合はあります。そのほか、破産管財人弁護士費用や遅延損害金が発生している場合もあるため、その場合の支払債務は落札者が立替えて支払う必要があります。立替えと書きましたが、競売不動産となってしまった物件の所有者が、ここでいう滞納費や弁護士費用を支払える余力が無いのが実情ですので、厳密には落札者が支払った金額は返還されません。

占有者退去費用

競売不動産によっては占有者が物件に住んでいる場合があります。その際に担保不動産競売であれば、債務者兼占有者の場合、最終的な引き渡し命令による退去を望むのではなく、占有者自ら退去してもらうように促します。その際に落札者が立ち退き料として占有者に渡す費用となります。※必ずしも渡す必要は無いですが、円滑な占有者退去のためのものとお考えください。

金額は様々ですが、賃料3ヶ月分+引っ越し費用10万円等。

5.落札後 その他

残置物撤去費用

競売物件によっては、室内が空っぽの場合もありますが、占有者がいる場合は居なくても残置物として、家財道具が残っている場合があります。その場合、撤去するのことになるのは、落札者が手続きすることになります。ただ、ご注意頂きたいのは、室内にある動産の所有者は不動産とは別に占有者にあるということです。動産を勝手に処分して後々トラブルに発展するケースも少なくありません。

そこで、動産放棄同意書等を占有者に記入してもらい証明書としてとっておくことをおすすめ致します。

尚、動産撤去費用の目安として、

◇動産撤去費用=㎡×10,000円×30%

リフォーム費用

競売不動産は内見が出来ない(不可能ではない)ことが前提となるため、リフォーム費用を事前に見積もることは難しいと言えます。所有権移転後に不動産を確認して大きく変わることは通常であるとお考えください。

また、自身で居住する場合は、賃貸借を予定しているような収益物件でもリフォーム内容が大きく変わって来ます。逆に収益物件で満室の場合は、リフォーム自体必要ない場合もあります。

リフォーム費用の目安は㎡数と戸建てやマンション等でも違うため、その都度リフォーム会社に確認することをおすすめ致します。

6.そのほかの費用

今まで述べた費用の他に、専門業者へ競売サポートをお願いする場合の費用や、占有者の退去が見込まれない場合に民事執行法に基づき引渡命令を行い強制執行に発展した場合に、執行官へ支払う費用をはじめ、鍵解除専門業者、作業員の確保、残置物保管倉庫費用があります。

以上のほかには細かいところこで、交通費や調査費用などもありますので、資金には余裕を持って競売不動産の所有に向けた計画を立てることが必要です。

競売不動産は、一般的な不動産に比べメリットも多いですが、リスクもきちんと把握した上での取得計画をしましょう。